史上最高のNHKドラマは? 不朽の名作ベスト5選。文句なしの完成度…何度観ても素晴らしい珠玉の作品をセレクト
2024年秋放送のNHKドラマ『3000万』『宙わたる教室』など、次々に話題作を生んでいるNHK。昨今は特にその深みにハマる人も多く、大きな注目を集めている。そこで今回は、NHKで放送された人気のドラマを5本セレクトしてご紹介する。(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
実写化作品の中でも過去最高レベルのクオリティ
『大奥』(2023)
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
出演者:冨永愛、福士蒼汰、堀田真由、仲里依紗、山本耕史、鈴木杏、玉置玲央、村雨辰剛、松下奈緒、仲間由紀恵、古川雄大、愛希れいか、岸井ゆきの、志田彩良など
【作品内容】
江戸幕府3代将軍・徳川家光の時代に、若い男にのみ感染し、致死率80%に及ぶ奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延。
国内の男子の人口が女子の1/4にまで減少したことで、あらゆる家業が女から女へと受け継がれ、男は子孫を残す宝として大切に育てられる男女逆転の世となる。
【注目ポイント】
徳川将軍家の血を繋いでいくことを目的に設立された大奥を中心に、男女逆転の世を描いた『大奥』。NHK総合の“ドラマ10”枠で、シーズン1が2023年1月期、シーズン2が同年10月期に放送された。
原作はよしながふみの累計700万部を突破した人気コミックで、過去にもドラマ化&映画化されているが、全19巻がまるごと映像化されたのはこれが初めて。
3代将軍・徳川家光の時代から大政奉還に至るまで約200年の歴史を描いている上に、出演者、美術や衣装も豪華で、大河ドラマ並みのスケールと話題になった。
特に、脚本を手がけた森下佳子の手腕には驚かざるを得ない。もともと原作は突飛な設定とはいえ、基本的な流れは史実に沿っていて歴史ものとしても楽しめるだけではなく、ジェンダーや疫病、権力など現代にも通ずる重厚なテーマを内包したSF超大作だ。
もちろん話数の都合上、省かれたエピソードもあるが、森下はオリジナルの展開と台詞で巧みにその隙間を埋めつつ、原作の魅力を余すことなく全21回のドラマに落とし込んだ。
主役から脇役に至るまで、ビジュアルと演技力の両面においてキャラクターの再現性も高く、賛否が分かれやすい実写化作品の中でも過去最高レベルと言えるのではないだろうか。