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静寂を要求されるシチュエーションだからこそ引き立つドラマ

左から、深澤辰哉、松本若菜【『わたしの宝物』公式Instagramより】
左から、深澤辰哉、松本若菜【『わたしの宝物』公式Instagramより】

 昔、書店や図書室で同じ書籍に男女が手をかけて「あ…」と、何かが始まるシチュエーションはよく見た。けれど小学生から本屋しか行っていないような、本好きの私にそんな経験はない。やはり、図書室ラブはドラマ制作陣による創作なのか。

 この疑問に対してあまりにも悶々としたので、先日、ドラマオタクの出版社編集部員(A)、ドラマ関係者(B)と私で話す機会に質問を投げかけた「ドラマや映画ではなぜ図書室では恋愛が生まれやすいのか」。以下が彼らの意見だ。

 私「小説でもなんでも創作恋愛は何か障害、抑制、禁忌があるといい。不倫ドラマなんて一番いい例ですよね。そう考えると図書室には静寂がある」

 A「それには図書室、図書館は手っ取り早いですよね。どんなに若者が行っていても、騒がしいマックでは恋愛はしづらい」

 私「スタバ…は店舗によっては静かにしていなくちゃいけないから、ワンチャンあるかもしれません。あと最近だと借りているシェアオフィスとかもそうですけど。映画館は静かすぎて無理かな」

 B「静かにしていなくちゃいけないと、アイコンタクトでふたりだけの空間が生まれやすいと思います。オフィスラブも不倫もそういうことですよね。誰にも知られない世界」

 ここでの意見を統括すると図書室という、真面目そうな雰囲気かつ静寂を要求されるシチュエーションは、ふたりだけの世界が生まれやすいということになる。そうだよな、『魔女の条件』も図書室という場所での一夜だったから、視聴者の印象に残った。もしあれが歌舞伎町のラブホだったら絵になりづらい。

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