灰谷兄弟の存在が忘れ去られないうちに続編を望む
『東京リベンジャーズ』
監督:英勉
原作:和久井健
脚本:高橋泉
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野亮平、今田美桜、眞栄田郷敦、清水尋也、鈴木伸之、磯村勇斗、吉沢亮、間宮祥太朗、篠原ゆき子
【作品内容】
かつて中途半端なヤンキーで現在はフリーターの、タケミチ(北村匠海)の元恋人であるヒナタ(今田美桜)が殺された。その翌日、タケミチは駅のホームから転落、目覚めた先はヒナタと出会った10年前の高校時代であった。タイムリープしたタケミチはヒナタが死亡した原因となった、かつては男気溢れる不良たちのチームであったが後に半グレ組織と化した「東京卍會」に入り、ヒナタの運命を変えるために奮闘する。
【注目ポイント】
原作における前半戦のクライマックスと言える『血のハロウィン編』で幕を閉じた実写版『東京リベンジャーズ』。キャスト陣の鬼気迫る芝居と原作改変の手並みも見事であり、「オリジナルを超えたのでは?」と評する原作ファンも多く、続編を望む声は少なくない。
特に現時点での最新作(『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』)では、後の強敵となる灰谷兄弟【(兄・灰谷蘭(栗原類)、弟・灰谷竜胆(豊田裕大)】が、終盤で原作通りに顔を出し、続編があることをほのめかしている。
が、原作にて灰谷兄弟が再登場するのは、かなり後の『天竺編』であり、その間にはこれまた名エピソードとして知られる『黒龍(ブラックドラゴン)編』がある。
さて、筆者が本作のプロデューサーであったとしたら…。『黒龍(ブラックドラゴン)編』をすっ飛ばして『天竺編』を描くか? それはそれでやれないことはないと思う。『黒龍(ブラックドラゴン)編』と『天竺編』にまたがって登場するキャラクターをうまく配置して、辻褄を合わせるのは不可能ではないだろう。
いずれにせよ『黒龍(ブラックドラゴン)編』の名ボスキャラである、柴大寿を描かないわけにはいかないだろう。彼は作中でも屈指の存在感を放つ怪物キャラであり、実際「実写版で誰が演じるか論争」もファンの間で巻き起こっている(個人的には、桐谷健太にビルドアップしていただき、演じてもらいたい)。
そして、原作では、東京卍會弐番隊隊長である三ツ谷隆(眞栄田郷敦)も柴大寿とタイマンを張るなど、フィーチャーされており、見どころは豊富である。ここはやはり、原作通りの順序で、前作同様、前後編の2部作にするのはいかがだろうか?
前作は『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』と、ひとつのエピソードを2本に分割したわけだが、今回は原作で端折れる部分を省略し、ぜひ『黒龍(ブラックドラゴン)編』と『天竺編』の2本立てを作っていただきたい。そう望むのはあまりにも贅沢だろうか。
何にしろ、灰谷兄弟の存在が忘れ去られないうちに、ぜひ続編を作ってほしいと願うのは、筆者だけではないはずだ。