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サスペンス映画の金字塔

『ユージュアル・サスペクツ』(1995)

映画『ユージュアル・サスペクツ』の1シーン【Getty Images】
映画『ユージュアル・サスペクツ』の1シーン【Getty Images】

監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
出演:スティーヴン・ボールドウィン、ガブリエル・バーン、チャズ・パルミンテリ、ケヴィン・ポラック、ピート・ポスルスウェイト、ケヴィン・スペイシー、スージー・エイミス、ベニチオ・デル・トロ、ジャンカルロ・エスポジート

【作品内容】

 ある夜、麻薬密輸船が爆発する事件が発生。27人の犠牲者とともに、数千万ドルが消える。関税特別捜査官のクイヤンは、事件の真相を探るため無傷で生き残った詐欺師のキント(ケヴィン・スペイシー)に尋問するが…。

【注目ポイント】

 1996年公開の『ユージュアル・サスペクツ』は、サスペンス映画の金字塔であり、脚本を担当したクリストファー・マッカリーが注目を浴びるきっかけにもなった作品でもある。第68回アカデミー賞では脚本賞とケビン・スペイシーが助演男優賞に輝いた。

 物語は、カリフォルニアの埠頭で起きた麻薬密輸船の爆破事件から始まる。この事件で27人が死亡。生存者は火傷で重症を負った乗組員と無傷のヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)のみだった。関税特別捜査官のクイヤンに呼ばれたキルトは、「ユージュアル・サスペクツ(常連の容疑者たち)」と呼ばれる5人の犯罪者を巻き込んだ、ある計画について語り始める。

 ストーリーのほとんどがキルトによる回想シーンによって構成され、事件の裏で5人を操っていた謎の弁護士コバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)を通じて、伝説の犯罪王カイザー・ソゼの存在が浮かび上がる。

 この謎の人物ソゼは物語の中心に据えられており、証言や事件の断片によって巧妙に配置されている。彼が誰なのか、何を意図しているのかという疑問を最後まで引っ張り、正体が暴かれるクライマックスは衝撃のどんでん返しと言えるだろう。

 単なる犯罪ミステリーのように思える本作だが、細部にわたって伏線が散りばめられている。そのため、一見すると無関係に思えていた小道具や犯罪者たちの微妙な表情、そしてセリフの裏に隠された意図などが再鑑賞によって気づかされるのだ。

 巧妙に設計された物語の構造と観る者の思考を巧みに操る演出、そしてラストシーンの衝撃を経験した後、もう一度最初から観直したくなる。細部に練り込まれたヒントが多く隠さている稀有な作品といえるだろう。

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