ホーム » 投稿 » コラム » 日本映画 » 2024年の民放ドラマ、最も演技が良かった助演男優は? ベストアクター5選。素晴らしい芝居で魅せた男たち » Page 2

甘さと狂気を含んだベビーフェイス

瀬戸康史『くるり〜誰が私と恋をした?〜』

瀬戸康史
写真:武馬怜子

 瀬戸康史といえば、泣く子も黙るイケメン俳優だ。甘いマスクに加え、意外な低音ボイスで多くのときめきを提供してきてくれた。

 そんな彼が春クールに出演したのが『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS系)だ。花屋で働く自称・元恋人というまるでおとぎ話から出てきたかのような設定を持つ西公太郎役を演じた。記憶喪失で世界が一変したヒロイン・緒方まこと(生見愛瑠)を常に支える公太郎は甲斐甲斐しい。

 回を追うごとにまことと親密になり、徐々に自分の弱さもさらけ出していくと、公太郎からは“致死量”のキュンがもたらされる。心を許した人の前でだけ浮かべる弱った子犬のような表情の瀬戸を見ていると、守ってあげたいとすら思ってしまう。

 ただ、そうした単なるラブコメ作品にとどまらなかったのが本作の魅力。毎話、“くるり”と見方が反転するような仕掛けが施され、公太郎も例に漏れない。第9話ではまこととのデートの際、見ているこちらが恥ずかしくなるような“花びらキス”で視聴者を悶絶させたかと思えば、後日無表情でまことの自宅の前に立っている。

 公太郎が実は過去にまことのストーカーだったのではないかとミスリードさせる、ホラー展開となっており、ベビーフェイスとの高低差で思わず声を出してしまうほどの恐怖感を与えた。

 序盤から圧倒的な王子様観を確立したかと思えば、一瞬垣間見せる狂気もあり、瀬戸の高い演技力が際立つ作品となっていた。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!