伝説のブチ切れシーンも…尾野真千子が出演するドラマはなぜ名作が多いのか? 女優としての稀有な魅力を徹底解説
text by 小林久乃
金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)で、柳楽優弥演じる主人公の姉・愛生役で出演中の尾野真千子。1997年に河瀨直美監督作品『萌の朱雀』でデビューして以降、映画、ドラマ、舞台にと八面六臂の活躍を見せる彼女の演技の魅力を過去作から紐解く。(文・小林久乃)
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【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は
女優・尾野真千子が出演する3本の傑作ドラマ
最近、女優・尾野真千子の出演するテレビドラマを期せずしてクルージングしている。
視聴している作品はNHKBSで再放送中の朝ドラ『カーネーション』(2011)、TVerで配信中の『最高の離婚』(フジテレビ系 2013)、現在放送中の『ライオンの隠れ家』(TBS系)の3本である。どれもドラマ史上では名作(になる予定のタイトルも含めて)だ。何度見ても面白い。
驚かされるのは尾野真千子のビジュアルである。約13年間の流れを一気に眺めているのに、彼女の見た目がまったく変わらない。「『カーネーション』で見えていたホクロがなくなった……?」という程度で、老けというものがテレビの画面越しには伝わってこない。
残念なことに女性は10年前の画像と比べると否が応でもでも、全体的にパーツが下がる。パーン! としたハリがなくなり、余分なシワばかりが増えている。これは自虐を込めての事実だ。中でも著名人には10年経っても変わらない人もいるけれど、髪型やメイク、衣装による印象操作の効果は非常に大きい。尾野のようにほぼスッピン薄化粧のスタイルで、10年前をキープできている人は少ないはず。
一体なぜなのだろうかと、3作のドラマの内容を咀嚼しながら考える。