暴力の応酬と悲劇的なラストは必見
『ゴッドファーザー』(1972年)
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ
出演者:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル
【作品内容】
1972年にフランシス・フォード・コッポラ監督によって作られた超大作映画。マリオ・プーゾの同題小説を基に映画化したもので、その後に続編映画が2作品作られ、結果として3部作に渡る壮大なサーガとなった。
“ゴッドファーザー”とはキリスト教文化圏における名付け親のことで、転じて一族郎党の広く納める人物を意味している。この映画の成功によりマフィアのボスという意味合いがより強くなった。
【注目ポイント】
興行面では公開当時記録的なヒットを収め大成功をおさめた。また批評の面でも高い評価を集めアカデミー賞でも1作目で3部門、2作目が6部門を受賞した。
1作目の主人公(=タイトルロール)のヴィトー・コルレオーネを演じたのはすでにトップスターであったマーロン・ブランド。コッポラ監督とはその後『地獄の黙示録』(1979)でもコンビを組んでいる。
ちなみにヴィトー・コルレオーネをモデルは実在の大物マフィアのラッキー・ルチアーノだとされている。ルチアーノはマフィアの在り方をよりビジネス的なベクトルに転換した人物とされている。
ヴィトー・コルレオーネの一族を演じたアル・パチーノやジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァルなどは本作からスターになった。(2作目ではロバート・デ・ニーロが出演し、アカデミー賞助演男優賞を受賞している)。
それまでもギャング映画、犯罪映画とカテゴライズされる映画は数多く作られてきたが、本作の登場で文芸調の格調高い年代記として大きくステップアップした。映画はドラマチック且つ抒情的で、どのシーンも異常なまで荘厳さと美しさを湛えている。
ただ、その一方で犯罪映画であることに変わりはなく、血塗られたシーンも多くある。映像の美しさ、人間ドラマが重厚である一方で、バイオレンスシーンはドライでリアル。やはり最終的には“命のやり取り”でしか決着を付けられない男たちが暴力の応酬させ、そのほとんどは悲劇的な最期を迎える。観る者のメンタルにズシリとくる“重さ”も本作を名作足らしめている大事な要素の一つだろう。
マフィア映画史に残るマスターピースとして、未来永劫鑑賞され続けるに違いない。
(文・村松健太郎)
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