『光る君へ』に女性人気をもたらした立役者
ファーストサマーウイカ(ききょう/清少納言)
ファーストサマーウイカは「枕草子」の作者である清少納言こと、ききょうを演じた。ききょうはお仕えする定子(高畑充希)を心から愛し、彼女の味方であり続けた。
ファーストサマーウイカはききょうの愛情深さ、優しさ、知的な雰囲気や自立心に加え、道長一派への憎しみも巧みに表現していた。
ききょうの最大の見せ場として、第15回「おごれる者たち」における定子とききょうの対面シーンを挙げたい。ききょうは定子の姿を初めて見た瞬間に惚れ込む。いわば、一目惚れである。このときのファーストサマーウイカの表情は驚きや感動、喜びにあふれており見事であった。表情豊かで、周囲を笑いに誘うことを得意とするファーストサマーウイカだからこそなせる演技だった。
また、この放送回では定子の命名により「清少納言」が誕生した。かの清少納言の誕生に歓喜の声を上げる歴史ファンの声がSNSなどをにぎわせていた。
上記のシーンに匹敵する見せ場として、第14回「星落ちてなお」におけるききょうが自身の思い描く生き方についてまひろに話すシーンを挙げたい。ききょうは「あのような姫たちが 私は 一番嫌いでございます。よりよき婿を取ることしか考えられず 志を持たず 己を磨かず 退屈な暮らしも そうと気付く力もないような姫たち」と、まひろに自分の考えを打ち明けた。
実際の清少納言が上流貴族の姫たちにも宮仕えをし、世の中を見ることをすすめた話は有名であるが、上記のセリフはこの逸話に通じるものだ。
ファーストサマーウイカは本作が従来の大河ファン以外の視聴者を取り込んだことに大きく貢献していると思う。彼女の裏表のないあけすけなキャラクターや唯一無二のファッションセンスは多くの同世代から支持されているが、彼女のモダンで、垢抜けたイメージが本作に明るい色を添えた。
またネットでは、ききょうが定子に抱く愛をファンが“推し”に抱く愛情と重ねる意見も散見された。本作が女性人気を獲得した要因の1つは、推し活女子たちがききょうに共感したからではないだろうか。