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“悲劇のプリンセス”の光と影を見事に表現

高畑充希(藤原定子)

高畑充希【Getty Images】
高畑充希Getty Images

 高畑充希が演じた定子は24歳でこの世を去り、“悲劇のプリンセス”ともいわれている。高畑は定子の光と影を見事に表現していた。

 定子が幼い帝を見守るシーンや、彼に寄り添うシーンは母性あふれるものであった。明るく、ほのぼのとしたイメージがある高畑が定子を演じたからこそ、優しさと気品あふれる中宮・定子という魅力的なキャラクターが生まれた、と言っても過言ではないだろう。

 定子の最大の見せ場として、第20回「望みの先に」における定子が出家を決意し、自らの髪を切り落とすシーンを挙げたい。高畑は自分や兄・伊周(三浦翔平)が置かれている状況への混乱や苦しみを全身で、彼女の絶望を説得力豊かに表現してみせた。定子の心神喪失状態ともいえるような状態を高畑はダイナミックに演じ、作品に緊張感を付与してみせた。

 このときの定子は混乱状態であるものの、中宮としての気品は失っていないように見えた。また、身の振りようは自分で決めたいという彼女の決断力の高さや意志の強さも感じられた。

 上記のシーンに匹敵する見せ場として、第16回「華の影」における高炉峰の雪を題材にしたシーンを挙げたい。この場面は「枕草子」の一節に基づくものだが、ききょうと定子の機知に富んだやりとりが雅で、美しかった。

 他者からの愛情もこの世の残酷さも知っている定子というキャラクターに、高畑は持ち前の愛らしさや明るさを活かした優れた演技力で見事に血を通わせてみせた。

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