日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』杉咲花の演技の“稀有な説得力”の秘密とは? 作り物であることを忘れさせる魅力を解説
text by ばやし
主演の神木隆之介のほか、斎藤工、土屋太鳳など、主役級キャストが脇を固めている日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』。中でも、過去と現代を繋ぐ“朝子”を演じる杉咲花の演技を賞賛する声が回を追うごとに高まっている。今回は、本作における杉咲花の芝居の魅力を解説する。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:ばやし】
ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。
杉咲花が演じる現実と地続きに生きる人物たち
なぜ、杉咲花はこれほどまでに過酷な運命を背負わされるのだろうか。そんなことを思ってしまうほど、彼女が近年の映像作品で演じてきたキャラクターたちは、容易に触れることのできない過去を抱えていた。
ただ、想像を絶する人生を歩む彼女らを、フィクションではなく現実と地続きに生きる人物として認識できたのは、間違いなく杉咲花という俳優が演じていたからだ。
映画『市子』(2023)の川辺市子も、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)の川内ミヤビも、たびたび「誰か」が演じていることを忘れてしまうほど、作品の世界に生きるひとりの人物としてそこにいて、確かにこの世に存在していた。
そして、現在、TBS系列の日曜劇場で放送されているドラマ『海に眠るダイヤモンド』に登場する朝子もまた、その系譜に名を連ねようとしている。