『日曜洋画劇場』歴代トップレベルの視聴率。女性の心をわしづかみに
『エマニエル夫人』(1974)
監督:ジュスト・ジャカン
脚本:ジャン=ルイ・リシャール
原作:エマニエル・アルサン
キャスト:シルヴィア・クリステル、アラン・キューニー、ダニエル・サーキー、マリカ・グリーン、ジャンヌ・コレティン、クリスティーヌ・ボワッソン
【作品内容】
外交官夫人のエマニエル(シルビア・クリステル)は、夫の招待で、赴任地のバンコクを訪問。久しぶりの夫との逢瀬やエキゾチックな町の生活を楽しんでいた。
そんなある日。彼女は、知人の紹介で「性の儀式」へと招かれる。はじめの内はおとなしかった彼女。しかし、性に奔放な人々と触れ合う中で、徐々に内に秘めた欲望を開花させ、大胆な女性へと変貌していく―。
【注目ポイント】
1966年から2017年まで、50年の長きにわたり日曜の夜に君臨し続けた『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系)。伝説の映画解説者淀川長春の「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」という名文句とともに記憶に刻まれている方も多いのではないだろうか。
さて、本番組枠の歴代高視聴率作品を紐解くと、『スーパーマン』(1979)や『ダイ・ハード』(1989)といったおなじみの作品に混ざって、意外な作品が上位にランクインしていることが分かる。1975年公開の映画『エマニエル夫人』だ。
本作は、エマニュエル・アルサンの同名小説を原作に、女性の性の解放を描いた作品。監督をファッション写真家のジュスト・ジャカンが、主演のエマニエル夫人役を新人女優のシルビア・クリステルが演じている。
レズビアンシーンやアヘン窟での複数プレイなど、全編に渡ってエロティックなシーンが満載の本作。特に、ジャカンによる甘美な映像とクリステルの妖艶な演技は、従来のポルノ映画では蚊帳の外だった女性客の心をわしづかみにし社会現象化した。
そんな本作が初放送されたのは、公開から2年後の1977年のこと。エマニエル夫人役の吹き替えには新人女優の山口いづみが起用され、30.8%の驚異的な視聴率を記録した。ちなみに、2回目の放映となったテレビ東京『木曜洋画劇場』(1979年1月25日放送)でも、22.5%の高視聴率を記録している。
なお、本作は、その後『続エマニエル夫人』(1975)、『さよならエマニエル夫人』(1977)とシリーズ化。さらに、1984年には、新たにモデルのミア・ニグレンを主人公に配して『エマニュエル』が制作されている。気になった方はこちらもチェックしてもらいたい。
(文・編集部)
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