名匠キューブリックが描く核戦争の恐怖
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964)
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、ピーター・ジョージ、テリー・サザーン
原作:ピーター・ベイツ
出演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン、キーナン・ウィン、スリム・ピケンズ
【作品内容】
冷戦真っ只中のアメリカ。戦略空軍基地司令官のリッパ-将軍が突然ソ連への水爆攻撃を指示。直ちに核兵器を搭載した爆撃機が飛行場を飛び立つ。
ところがソ連が保有する核の自爆装置は、水爆攻撃から10ヶ月以内で全世界を破滅させてしまうと判明。両国の首脳陣は緊急会合を開き、事態の収拾に奔走するが、水爆はついに投下されてしまい…。
【注目ポイント】
『2001年宇宙の旅』(1968)で知られる名匠スタンリー・キューブリックの戦争映画。主演を『ピンクパンサー』(1963)シリーズでおなじみのピーター・セラーズが演じている。
本作最大の見どころは、主演のピーター・セラーズの「1人3役」だろう。『ピンクパンサー』シリーズでは、抱腹絶倒の演技で観客の心をつかんだセラーズ。
本作では、主人公の元ナチ科学者ストレンジラヴ博士の他に、気弱なイギリス空軍将校と堅物なアメリカ大統領を演じている。扮装しているとはいえ、どの役も全く別人にしか思えないから不思議だ。
周知の通り、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、世界は冷戦期以来の全面核戦争の危機に瀕している。ストレンジラヴ博士が現実世界に現れないことを願うばかりだ。
(文・編集部)
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