映画50作品以上! 日本映画史に残る名脇役
火野正平『ラストマイル』(2024)
俳優だけでなく歌手としても活躍した火野正平は1949年に生まれた。12歳の頃には劇団に所属しているので、子役からキャリアを始めたことになる。
映画デビューは1966年。その後1970年代に入ると一気に映画の出演本数が増える。その後、2024年の『鬼平犯科帳 血闘』、『ラストマイル』までほぼ毎年の様に出演映画が公開され続けた。
1980年代はプレイボーイとしてワイドショーを賑わす存在にもなった。後年にモテる男性有名人の事を“~の火野正平”と評するのはここから来ている。かつてはロングヘア―のワイルドな風貌だった時もあったが2000年代辺りからスキンヘッドに近い髪型になり、この風貌で彼を認識している人も多いのではないだろうか。
映画デビュー以降、50作品以上の映画に出演してきた火野正平の出演作品から一本選ぶとなるとなるとかなり難しい。特に脇役でいい味を出すことも多いので、難題と言える。そんな中で最も新鮮な記憶を持っているということで遺作となった『ラストマイル』を挙げたい。
興行収入59.1億円を超える大ヒット(実写邦画としては『キングダム大将軍の帰還』に次ぐ年間2位)作品となった本作は、ブラックフライデーを控えた巨大物流センターを舞台に起きる謎の連続爆破事件を描いた社会派エンターテイメント作品である。
火野正平は物流の末端のベテラン配達員を演じ、物流という巨大なシステムの悲哀の部分を体現する絶妙な演技を見せている。これから観る方は、名優がみせた最後の雄姿に注目してほしい。