永遠の“世紀の二枚目スター”
アラン・ドロン『太陽がいっぱい』(1960)
最後に海外の映画スターを1人取り上げる。それが今年8月に亡くなったフランスの俳優アラン・ドロンである。
1935年に生まれたアラン・ドロンは1960年代からフランスを代表するトップスターとなった。その後、英語圏の作品でも大活躍し、“世紀の二枚目スター”の代名詞となった。
『太陽はひとりぼっち』(1962)、『冒険者たち』(1967)、『サムライ』(1967)、『さらば友よ』(1968)、『ボルサリーノ』(1970)と言ったヒット作、話題作を連発した。その後も長らく活動し続けたのち2017年に俳優業からの引退を宣言した。
親日家としても知られ、たびたび来日、多くのファンを獲得した。日本各地を訪れたほか、バラエティ番組、CMにも多数出演してお茶の間の人気者となった。
そんなアラン・ドロンの代表作と言えばやはり、『太陽がいっぱい』(1960)であろう。
パトリシア・ハイスミスの原作をルネ・クレマン監督が映画化したサスペンス映画。ニーノ・ロータのメインテーマも映画ファンの間ではおなじみの楽曲だ。
アラン・ドロンが演じたのはアメリカの大富豪の息子フィリップと行動を共にする貧しい孤独な青年トム・リプリー。
常に上から目線のフィリップに対して、リプリーは徐々に恨みを募らせフィリップを殺害して、その財産を得ようと画策する。リプリーは完全犯罪を成し遂げたかに見えたが…。
タイトルの“太陽がいっぱい”は大仕事をやってのけた後の達成感と満足感から思わずリプリーが口にしたセリフから来ている。そのセリフが発せられてからの展開は1度見たら忘れられないものになっている。
(文・村松健太郎)
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