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役柄との巡り合わせが生んだ戸塚純貴の新たな魅力

戸塚 純貴
戸塚 純貴 写真Wakaco

 『親バカ青春白書』以来、ドラマで彼を見かけるたびに「おっ」と、ザッピングの手を止める。そこで彼が前述のような喜劇要素のある役柄だと、ますます手が止まって連ドラを最後まで追いたくなる。が、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系・2022)の大津浩志や、『肝臓を奪われた妻』(日本テレビ系、2024)の小栗健のようなイケメン前提の役柄だと疑問が残る。彼の良さはそこではないと、ツッコミを入れたくなっていた。

 そこに現れたのが轟太一役である。当初はバンカラ姿で男節の良さを売りにしていた轟。兵役を終えてよねさんと弁護士事務所を立ち上げる頃には、ふにゃっとした笑顔の似合う、優しい男性になっていた。最初はガンコ一徹そのものだったのに、柔軟性のある男だったとは…と、意外性に視聴者がSNSで騒いでいたことを思い出す。そんな彼からはいくつも名言があった。

「人間なんてそんなもんだ。『今振り返ってみれば』の連続。過ぎてからわかることばかりだ」

 結婚について同性愛者の轟の前で言及したことを詫びる寅子。轟は独特の口調でこう答えている。そうなんです。本当にそう。人間なんてたらればの繰り返し。また女子部の集まりで「みなさんにとって、法とは何かしら?」という寅子の問いに「約束だと思うなあ。人らしくあるための」そう答えた轟。どのセリフの話し方もどこかに優しさと笑みがあった。

 そして戸塚にめちゃくちゃ似合っていた。役との巡り合わせとは、本当に運以外の何ものでもない。目の前に良さそうな縁があっても、突然変異するかもしれないし、途中で切れてしまうことも多々。その中から自分で選んで、運を手繰り寄せていくしかない。きっと轟役は運=順番が回ってきたのだと私は考える。

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