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原作の空気感を見事に映像化

『アイネクライネナハトムジーク』(2020)

多部未華子
多部未華子【Getty Images】

監督:今泉力哉
脚本:鈴木謙一
キャスト:三浦春馬、多部未華子、矢本悠馬、森絵梨佳、恒松祐里、萩原利久、八木優希、成田瑛基、こだまたいち、MEGUMI、柳憂怜、濱田マリ、中川翼、祷キララ、藤原季節、伊達みきお、富澤たけし、貫地谷しほり、原田泰造

【作品内容】

 仙台駅前で街頭アンケートに立つ会社員の佐藤(三浦春馬)は、ふとしたきっかけでアンケートに応えてくれた女性・紗季(多部未華子)と出会う。その後、周囲にいる人々を交えながら、情けなくも愛おしい日々と彼らの不器用な恋の顛末が描かれていく…。

【注目ポイント】

 ベストセラー作家・伊坂幸太郎の小説「アイネクライネナハトムジーク」は、登場人物たちが何気なく日々を過ごすなかで起こる出来事に、小さな奇跡が重なりあって物語が紡がれる群像劇だ。

 不器用だけど人間味に溢れた人々が奔走する6つのストーリーが収録された連作短編集を、映画『愛がなんだ』(2018)や『街の上で』(2020)を手がけた今泉力哉監督は、伊坂ワールドの独特な空気感を失わせずに2時間の映像作品としておさめている。

 原作では詳細に描かれていなかった佐藤(三浦春馬)と沙季(多部未華子)のエピソードを主軸に添えつつも、佐藤の同級生である織田一真(矢本悠馬)とその妻・由美、上司である藤間(原田泰造)の物語も要所で描かれており、耳心地のいい会話劇が劇中でも再現されていた。

 また、伊坂作品は彼の故郷である仙台を舞台にしている物語が多く、本作品も仙台駅に直結するペデストリアンデッキを筆頭に、作中の印象的なシーンで仙台の街並みが映しだされている。仙台を訪れた際は、ぜひ映画を思い起こしながら、登場人物たちが駆け巡った景色を歩いてみてほしい。

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