他人事ではない冤罪事件
『父の祈りを』(1993)
監督:ジム・シェリダン
脚本:ジム・シェリダン、テリー・ジョージ
原作:ジェリー・コンロン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ピート・ポスルスウェイト、エマ・トンプソン
【作品内容】
定職に就かず、その日暮らしで遊び惚けている青年ジェリー・コンロン(ダニエル・デイ=ルイス)は、IRAを挑発したため、彼らから目を付けられる。
心配した父のジュゼッペ(ピート・ポスルスウェイト)は、ほとぼりが冷めるまで彼をロンドンへ行かせることに。
ある日、ロンドンから50キロ離れたギルドフォードで起きた爆破事件の容疑をかけられたジェリーは、ジュゼッペとともに同じ刑務所に投獄されてしまう…。
【注目ポイント】
1974年にロンドンで発生したギルドフォード・パブ爆破事件で、無罪の罪で15年間投獄されたジェリー・コンロンの『Proved Innocent』を原作として製作された作品である。
7日間、暴力を受け続け、自白を強要されたことにより事件の犯人とでっちあげられ、長期間拘置された冤罪事件を描いている。
本作のジェリー役、名優ダニエル・デイ・ルイスの真実を証明しようとする喜怒哀楽の演技に圧倒される。また、ジュゼッペの父を演じたピート・ポスルスウェイトの厳格ながらもやさしさを持つ深みある演技には、うなるばかりである。
ジェリーの無実を晴らそうと奮闘する人権弁護士ギャレス・ピアース(エマ・トンプソン)の迫真の演技も涙を誘う。
監督は、『マイ・レフトフット』や『ボクサー』で、人間ドラマを描くことで知られるジム・シェリダン。しかし、本作のような冤罪事件は日本でも起きているので、決して他人事ではない。