日本映画史上もっとも泣ける「親子の愛」を描いた映画5選。涙で画面が見れない…珠玉の感動作をセレクト
いくつになっても自分の子供は可愛いもの。だが日々子育てや仕事に追われていると、ついそんな大事なことも忘れてしまいがちだ。そこで、今回は父親の愛情を感じる作品をセレクト。観終わった後に、子供を抱きしめたくなるような、心温まるハートフルな映画を5本紹介。作品内容と共に、魅力についても解説する。(文・シモ)
——————————
【著者プロフィール:シモ】
東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『イル・ポスティーノ』、『パリ・テキサス』。
不器用な父のカッコいい姿に号泣
『お父さんのバックドロップ』(2004)
監督:李闘士男
脚本:鄭義信
出演:宇梶剛士、神木隆之介
【作品内容】
「新世界プロレス」の看板レスラー下田牛之助(宇梶剛士)は妻に先立たれ、父・松之助(南方英二)の住む実家で暮らすため、小学生の息子・一雄(神木隆之介)と、大阪の下町に引っ越してくる。
一雄は、近所のクラスメイトの1人、哲夫(田中優貴)と仲良くなるが、父がプロレスラーであることを内緒にしてほしいと頼む。プロレスラーである牛之助のことを恥ずかしく思っているからだ。
牛之助は、息子の威厳を取り戻すためにある無謀な戦いに挑む。
【注目ポイント】
本作は、不器用なお父さんが貫く一つの生きざまが感動を呼ぶストーリーである。
プロレス一筋で生きてきたため、親としての愛情を息子にうまく注げない牛之助。彼は、巡業のわずかな時間を使って一雄と時間を過ごす。一緒に自転車に乗ったり、河原でキャッチボールをしたり。ごくありふれた、父親のコミュニケーションである。
しかし、そんな父の行動を見透かしている一雄は、「無理にお父さんらしくしなくていいよ!ほっといてくれよ!」と、牛之助を突き放す。一雄は、「入学式」「運動会」「お母さんの入院」「葬式」などの大事な時にプロレスを優先してきた父が気に食わないのだ。
意を決した牛之助は、一雄のお父さんとしての信頼を取り戻すために、自分が命をかけるプロレスで、外国空手チャンピオン・ロベルト・カーマンへの挑戦状を叩きつける。そして、勝利のために、厳しいトレーニングを積むのである。
試合当日、一雄はテレビ放映で牛之助が宣言する言葉を聞く。
「たった3人、自分自身、死んだ妻、息子のために戦うんだ」
この台詞に心を打たれた息子は自ら会場に向かい、父を応援するのだ。
激闘の末、牛之助は一雄の目の前で人生最高のバックドロップを決める。プロレスラーとしての生き様を身をもって一雄に見せることで、”世界で一番のお父さん”になったのである。
本作のように、親が自分の子どもにスポーツで生き様を表現する映画は数多い。個人的には、同じくプロレスラーが自らのプライドと家族への愛のために戦う映画、『パパはわるものチャンピオン』(2018)をおすすめしたい。