燃え上がる炎を思い起こさせる熱い演技
伊藤英明
色白で、意外と少年のような顔立ちをしている煉獄さんに対し、筋肉質で小麦色の肌を持ち、大人の色気がある伊藤はビジュアル面でかけ離れているため、納得できない人もいるだろう。
二枚目役が多いイメージだが、その印象を覆す役柄にチャレンジしている伊藤。映画『悪の教典』(2012)ではサイコパスな殺人鬼を怪演し、世間を驚かせた。
さらに、2022年に公開された映画『KAPPEI』では、ノストラダムスの大予言によって山奥に籠り、殺人拳「無戒殺風拳」の修行に励むも突然解散を告げられ、大都会・東京に戸惑う主人公の勝平をユーモラスに演じた。
煉獄さんといえば、己の信念を最後まで貫く姿が印象的だ。自らの限界を迎えてもなお、仲間を守るために命を懸けて戦うその姿は、燃え上がる炎を思い起こさせ、炎柱として戦い続けてきた強靭な精神力がうかがえる。
伊藤の代表作『海猿』では、羽住栄一郎監督の要望により、過酷な表情をカメラに収めるため、体力の限界を突破するまで「カット」をかけられなかったと、当時のインタビューで語っている。そんな過酷な現場に耐え名場面を作り上げた伊藤には、煉獄さんの持つ信念に通じるものがある。
伊藤が煉獄さんにキャスティングされれば、俳優の枠を超えて役に向き合う精神力と確かな表現力が、他の共演者やスタッフ全体の士気を高めてくれるだろう。
さらに、現場の共演者やスタッフたちとは、本当の「鬼殺隊」のような関係を築いてしまうのではないかと思わず想像してしまう。