等身大の役を表現するニュートラルな声
川栄李奈
―――次は、元AKB48の川栄李奈さんです。連続ドラマ小説『カムカムエヴリバディ』(2021、NHK総合)の大月ひなたや『となりのナースエイド』(2024、日本テレビ系)の桜庭澪など、等身大の役を演じる機会が多い印象です。
「川栄さんの声は、とても自然でニュートラルなので、感情を乗せやすいんです。加えて、声がクリアで聞き取りやすいので、明らかに主人公向きですね」
―――川栄さんといえば、AKB48時代はどちらかというと「おバカキャラ」という印象でしたが、AKB48を脱退されてから女優として一皮むけた印象があります。特に、『カムカムエヴリバディ』での英語の長ゼリフは、「おバカキャラ」しか知らない視聴者に衝撃を与えました。
「AKB48の皆さんは、曲の完成を待たずしてPV撮影に入ることもあって、その場でダンサーの動きを見ながらダンスを覚えないといけなかったりするので、元々の地頭は間違いなくいいと思います。もしかすると、AKB48を脱退されてから、演技レッスンをたくさん積まれたのかもしれないですね」
―――ちなみに川栄さんは、尊敬する人物として、大島優子さんを挙げています。
「大島さんも川栄さんも、軸がしっかりされてそうですよね。役者さんの場合、軸がしっかりしていないと役に取り込まれてしまうことがままあるので」
―――それは危険ですね。
「はい。なので、役者さんは、演じる前に自分自身と役の境目をしっかり意識しておく必要があります。その点、川栄さんと大島さんは、しっかりと役柄を冷静に客観視できている印象があります」
―――もしかすると、「おバカキャラ」も川栄さんの役のひとつだったのかもしれないですね。