マジシャン岩田剛典によるイリュージョン


三代目 J SOUL BROTHERS公式Instagramより

「R.Y.U.S.E.I.」の配置には当然ながらその年ごとに演出の違いがあり、アンコールに配置されるとは限らない。2023年のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND“』では前半部に位置していた。

 昨年開催された7度目のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2024“ECHOES OF DUALITY”』(以下、『“ECHOES OF DUALITY”』)ではむしろ、序盤に配置することで効果を増幅させる衝撃的な演出を試みている。

 ぼくは、同ツアーの東京公演(2024年12月11日)を観たが、さらりと披露された「R.Y.U.S.E.I.」のあと、ひとりステージ上で躍動する岩田が、バックモニターに写された水中の映像を背にして背面落ちしたのである。ライブ演出として想定されていたこととはいえ、突如落下への衝動に駆られたかのようにオフステージへとあざやかに姿を消す。マジシャン岩田のイリュージョン。美しい演出だった。

 三代目JSBのライブでは、バックモニター演出だけでなく、オープニングを飾る大型モニターの壮大な演出が慣例である。さまざまなモティーフが張り巡らされるライブ全体がひとつの交響詩だとするなら、モニター映像が打ちだす世界観は、あらゆる映像的感覚が研ぎ澄まされた映像詩だ。

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