そして、誰もいなくなった…
いじめられっ子による壮絶な復讐劇

『ミスミソウ』(2018)

山田杏奈【Getty Images】
山田杏奈【Getty Images】

監督:内藤瑛亮
脚本:唯野未歩子
原作:押切蓮介「ミスミソウ完全版」
出演:山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、大塚れな、森田亜紀

【作品内容】

 東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花(山田杏奈)は、校内で「部外者」扱いされ、凄絶ないじめを受けていた。
 
 春花は、転校生でクラスメイトの相場晄(清水尋也)を心の支えに、なんとか耐えてきたが、いじめは日に日にエスカレート。やがて、春花の家が燃え、家族が焼死するまでの事態に発展する。突然の悲劇に見舞われた春花は壮絶な復讐を開始するが…。

【注目ポイント】

 厳しい冬の寒さに耐え、早春に雪を割るように可憐な花を咲かせるミスミソウ(三角草)。タイトルだけ聞くと、耐えた先に良いことがありそうなモチーフだが、本作の展開は全く異なっている。

 本作は、押切蓮介の同名漫画を原作としたサスペンス。監督は『先生を流産させる会』(2012)の内藤瑛亮で、脚本は監督、女優としても活躍する唯野未歩子。キャストには山田杏奈や清水尋也らが名を連ねる。

 家族を失ったいじめられっ子によるいじめっ子への復讐劇を描いた本作。その手段は、目を釘で突いたり、絶命するまで顔を殴りつけたりと、思わず目を覆いたくなるほど凄惨だ。

 とはいえ本作、終盤で意外な人物が真犯人として浮上。最後には、復讐に加担していた人物が皆いなくなり、青春映画らしく、卒業式のシーンで幕を下ろす。

 陰惨な復讐劇から一転し、一気に爽やかな青春映画へと流れ込む描写には、爽やかさすら感じられる。U-NEXTほかで配信されているので、是非ともその目でご覧いただきたい。

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