四人の名女優たちの心震える名演は必見
『阿修羅のごとく』(2025)
監督:是枝裕和
脚本:向田邦子
キャスト:宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず
そして2025年1月に配信がスタートした『阿修羅のごとく』(Netflix)である。ここでは四姉妹がドラマの主役だった。未亡人で不倫中の長女・綱子(宮沢りえ)、専業主婦の次女・巻子(尾野真千子)でふたりの子どもがいる。独身で図書館秘書の三女・滝子(蒼井優)、ボクサーと同棲中のフリーターの四女・咲子(広瀬すず)という設定から、ドラマは始まる。ここから四姉妹がそれぞれにライフイベントを迎えて、女性の変遷を迎える。
昭和54年が舞台の本作、令和とは女性の扱われ方が圧倒的に違う。夫の浮気は甲斐性として消化され、男尊女卑バリバリの最中を生きていく四人の姿、そして女としての業の深さが爽快。そして四人の名女優たちの演技は、心の底から最高だ。今、各所で話題沸騰中なので見た人も、これから予定している人も多いと思うので、ネタバレのないようにここまでしておこう。
しかしだ。情勢を鑑みると、令和の次の元号になる頃は、多きょうだい企画のドラマはなくなっているような気がする。その時にはホームドラマそのものがどんな形態になっているのか、見届けてみたい。その時まで自分が生きていればの話として…。
※『ランチの女王』はFOD、『末っ子長男姉三人』はHulu、『阿修羅のごとく』はNetflixにて配信中
(文・小林久乃)
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