日本アカデミー賞8部門受賞の衝撃作

原田美枝子『愛を乞う人』(1998)

原田美枝子【Getty Images】
原田美枝子【Getty Images】

監督:平山秀幸
脚本:鄭義信
原作:下田治美
出演:原田美枝子、野波麻帆、中井貴一、小日向文世、熊谷真実、國村隼

【作品内容】

 母親に虐待されていた記憶に蓋をしていた照恵(原田美枝子)は、自分も母親になり、娘を育てた。照恵は、幼い頃に死に別れた父親の遺骨を探す中で、まだ生きている母・豊子(原田美枝子:一人二役)に会うことを決意する。

【注目ポイント】

 原田美枝子が一人二役で、幼いころ母親に暴行を受けた娘と、娘を虐待していた母親を演じた本作。

 泣き叫んで「やめて」と懇願する娘に、手を休めることなく暴力を振るい、暴言を吐く姿も強烈だが、ピシャッと頬をビンタする描写は、日常的に暴力がコミュニケーションの手段になっていることを表しており、恐ろしさに身が縮む。

 本作は、第22回日本アカデミー賞・作品賞、監督賞、主演女優賞や、第41回ブルーリボン賞で主演女優賞を受賞するなど、90年代以降の日本映画を代表する1本として高く評価された。観る人の心に親子とは何かを問う作品になっているが、上述のように過酷な描写に事欠かないため、ぜひ心に余裕がある時に観てほしい。

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