人生の一発大逆転を狙う男たちの最後の反抗
『新幹線大爆破』(1975)
監督:佐藤純弥
脚本:小野竜之助
出演者:高倉健、千葉真一、宇津井健
【作品内容】
約1500人の乗客を乗せた東京・博多間を走るひかり109号の新幹線に爆弾を仕掛けたと、国鉄本社公安本部に電話が入る。
電話の主は、精密機械工場の元経営者・沖田哲男(高倉健)。沖田は、工員の大城浩(織田あきら)、元過激派の闘士・古賀勝(山本圭)と共に、現金500万米ドル(約15億円)を手に入れ、海外逃亡を夢見るが…。
【注目ポイント】
高倉健主演・豪華俳優陣共演の、サスペンス超大作である。
「ひかり109号に爆弾を仕掛けた」「500万米ドル(約15億円)を要求する」
走行速度が80km/hを下回ると爆発する新幹線の爆弾はどこに?
本作は、犯人と国鉄(日本国有鉄道)、新幹線の乗客のそれぞれにスポットを当てながら展開していくのが特徴だ。
犯人グループの首謀者・沖田は、大城と古賀を率いてこの計画を成功させようとするのだが、彼らの犯行の動機はなんなのか。それは、沖田、大城、古賀たち社会の隅に追いやられた男たちが起こす、社会への反抗。人生の一発大逆転である。
沖縄の集団就職から上京してきた大城は、どの職場でもうまくいかない男だ。そんな大城を、自分の会社・沖田精機製作所で働かせてやる沖田だったが、自身もうまくいかない人生を送っていた。会社の経営が傾いたのを機に、妻に逃げられてしまったのである。古賀は古賀で、革命の夢に破れた左翼崩れという背景を持つ。
そんな3人の社会への反抗は順調にいくはずだったが、大城は警察に撃たれて死に、古賀は警察に追い詰められて自爆してしまうことで崩れていくのだ。
何とか生き残り、500万ドルのトランクケースを手に海外へ逃亡しようとする沖田も、警察に撃たれて散っていく…。
沖田が仲間につぶやく台詞。
「俺たちは、誰も殺さない、殺されない完全犯罪をするつもりだったのに」
彼ら3人の夢は、はかなくも散ってゆくのだ…。
本作は、監督・樋口真嗣、主演・草彅剛で、Netflixでリブート作品として製作されることが決定している。どのようにリブートされるか楽しみである。