目を覆いたくなるような暴力描写のオンパレード
『バトル・ロワイアル』(2000)
監督:深作欣二
脚本:深作健太
出演者:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし
【作品内容】
少年犯罪が増加の一途辿る中、政府は“BR法”を制定する。無作為の選出の中でバトル・ロワイアルに巻き込まれた七原秋也(藤原竜也)ら各生徒は極限の状況に置かれた結果、殺し合いを選ぶことに。
ゲームを活発化させるためにクラスに加えられた桐山(安藤政信)は何の躊躇もなく殺戮行為に走る、もう一人の転校生の川田(山本太郎)と組むことになった秋也はヒロインの典子(前田亜季)と共に島を脱出する術を探っていく。
【注目ポイント】
ある中学校の一クラスが、孤島を舞台に最後の一人になるまで殺し合いをするというショッキングな設定が話題を呼んだ、高見広春の同名小説の映画化。高見広春が発表した著作はこの作品以外になく、謎の多い作家でもある。
メガホンを取ったのは『仁義なき戦い』シリーズ以降、映画業界の最前線で活躍し続け、当時すでに大御所の一人であった深作欣二。久しぶりのバイオレンスで辣腕をふるうことになった。
キャストは藤原竜也以下、前田亜季、栗山千明、柴咲コウ、山本太郎、安藤政信らが一部オーディションを経てキャスティングされた。また、元々深作が監督する予定だった『その男、凶暴につき』(1989)で監督デビューを果たし、一躍日本を代表する映画作家に成り上がったビートたけしも出演している。
本作は、過激なストーリーもさることながら、たけし演じる教師が投げ放ったナイフが女子生徒の眉間に突き刺さるシーンをはじめ、目を覆いたくなるような暴力描写のオンパレード。当然のようにR-15指定となり、肝心の中学生が劇場で鑑賞することができないという事態になった。
その上、中学生同士の殺し合いというショッキングなテーマが「青少年に悪影響をおよぼす」ことを危惧した国会議員が本作の上映規制に動くなど、公開当時、マスコミを賑わせた。
本作をめぐるマスコミの報道が宣伝を兼ねることに繋がったのか、蓋を開けると31億円を超える大ヒットを記録。のちに、“当時中学生で(この映画を劇場で)観られなかった諸君にこの一篇を贈る”と銘打ち『バトル・ロワイアル【特別篇】』も上映された。
今では“デス・ゲーム系映画”のパイオニア的な存在に位置付けられている。