一生続くアルコール依存克服との戦いの恐ろしさ

『28DAYS』(2000)

サンドラ・ブロック
サンドラ・ブロック【Getty Images】

監督:ベティ・トーマス
キャスト:サンドラ・ブロック

【作品内容】

 コラムニストの女性グエンは、恋人と毎晩酒を飲んではバカ騒ぎする生活を送っていた。ある日、姉の結婚式に参列した彼女は酔っぱらって式を台なしにしてしまい、リハビリ施設への入所を命じられてしまう…。

【注目ポイント】

 女優サンドラ・ブロックがアルコール依存症の主人公を演じ、依存症に苦しむ人々の心理に加え、再生への道のりを、ユーモアを交えながら描いている。

 主人公のグエン(サンドラ・ブロック) はコラムニストとして活躍するも、私生活はパーティー三昧でアルコールと薬に依存する日々を送っていた。ある日、姉の結婚式に泥酔した状態で参加した彼女は、誤ってウエディングケーキを倒した挙句、酔った勢いでリムジンを盗み、街を暴走。その末、民家に衝突してしまう。普通だったら刑務所行きのところ、彼女はリハビリ施設で28日間の入所を命じられる。

 物語は、施設内での様子を中心描かれているのだが、入所する前から反発的だったグエンのリハビリ生活は簡単なものではなく、度々、禁断症状に襲われる。

 “簡単にお酒をやめられる”と思っていたが、手の震えやアルコールなしでは自分を保てないことに気づき、心の奥にある孤独や不安と向き合うことを余儀なくされるのだ。さらに同部屋の患者が依存を断ち切れずに自死し、依存症の厳しい現実を突きつけられる。

 リハビリを終えた彼女は、アルコールに頼らずに生きる道を模索する。そして再び酒を勧められる場面では自らの意思で断ることができるようになる。しかし、それが簡単なことではないことを理解している彼女は“依存症の克服は一生続く戦い”と自覚するのだ。

 本作はアルコール依存症の恐ろしさだけでなく、そこから抜け出そうとする人々の努力も描いており、希望のあるストーリーとなっている。「お酒がやめられない」と悩んでいる方に、是非とも観ていただきたい作品だ。

(文・阿部早苗)

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【了】

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