コメディの中にバカリズムが仕込んだ「感動」
さらに驚くべきは後半の展開。あくまでもコメディかと思われたこの『ブラッシュ・アップ・ライフ』は8話で大きな転換を見せる。幼馴染の宇野真里(水川あさみ)が、麻美と同じように生まれ変わりをしていたこと、そして麻美の親友の夏希(夏帆)と美穂(木南晴夏)が乗った飛行機が事故に巻き込まれ、2人は命を落としてしまうことが真里の口から告げられる。
これまでは「良いことをすれば来世で人間になれる」という自分の目的のために生まれ変わりをしていた麻美が「親友の死」という大きな問題に突然直面する。残酷な運命を変えるため、麻美は人生を全て勉学と体力づくりに当て、飛行機のパイロットを目指すことを決意する。
本来であれば、夏希や美穂と、お気に入りのシールを交換し合ったり、ドラマ倶楽部を結成し好きなドラマについて語り明かしたりと、体験してきた青春を全て捨ててまで、親友の命を助けようとする麻美の姿を心から応援したし、最後には涙が止まらなかった。コメディドラマだと思っていたはずが、最後には感動を呼ぶ。それがバカリズム脚本ドラマの不思議な魅力だ。