日本のアニメ市場

柄本佑
柄本佑 写真:武馬怜子

 奇跡は経済をも動かす。日本のアニメは世界に名を馳せ、アニメ市場は2兆円を上回るとも言われている――。『ハケンアニメ!』のナレーションでそれを聞いて「ににに2兆円!?」と驚いたものだが、映画公開から時が過ぎ、2023年のアニメ産業の市場規模はついに3兆3465億円と過去最高を記録(2024年12月22日、NHKニュース)。すごすぎる。日本経済ガッツリ動かしてますよね!?

 アニメの商品化による売り上げは約7000億円なのだとか。『ハケンアニメ!』では勝手に『サウンドバック 奏の石』とカップラーメンとのコラボが決まり、瞳が激怒するシーンがあった。しかしこの数字を見ると、宣伝効果を含めそりゃやったほうがいいと思える。

 いやもうすごいことになっている日本のアニメ。このバカでかい市場で覇権を取るということは、大げさでなく世界を牛耳ったぐらいの成功と言えるのかもしれない。

 実は公開当時、アニメ業界においての「ハケン」の意味を知らなかった私は、てっきり、わけもわからずアニメ制作会社に派遣された主人公が挫折と成長を繰り返し、アニメーターとして才能を開花させる物語と勘違いしていた。

 全然違った。ハケンとは覇権。クール及び1年間の売り上げ1位、つまりテッペンの作品のことであったのだ。ちなみに、『ハケンアニメ!』予告編でその例としてタイトルが出ていたのは『新世界エヴァンゲリオン』『涼宮ハルヒの憂鬱』『鬼滅の刃』。なるほど。

 個人的に「2024年 覇権アニメ」で検索してみると『薬屋のひとりごと』や『葬送のフリーレン』が出てきた。なるほどなるほど、超名作だらけだ。

 もちろん、誰の心の中にもそれぞれの一番がある。たった1人でも、一生を通してぶっ刺さる作品。それもハケンアニメなのかもしれない。

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