映画『ハケンアニメ！』で心に火をつけられたワケ。大河ドラマ『べらぼう』にも通づる「ものづくり」作品の魅力とは？徹底解説

「リアル以外の場所も豊かにする」情熱

　斎藤瞳は迷い凹みながらも、ライバル作品『運命戦線リデルライト』のプロデューサー・有科香屋子（尾野真千子）、そして王子千晴監督（中村倫也）と刺激し合い、強く柔軟に変わっていく。

　そして仕上がった『サウンドバック　奏の石』と『運命戦線リデルライト』の最終回ラスト、それぞれの主人公が言う最後のセリフが、どちらもすごい！

　よくぞ、よくぞこの言葉が出てきたと震えた。ぜひ、『ハケンアニメ！』を観て確認してほしい。

　クリエイターたちはいつの時代も奔走する。てやんでい、べらぼうめ、なんでわかってくれないの！と苛立ち叫びながら。

　いろんなものと戦って、いろんなものを失うことになっても、アイデアを形にしてもう一つ世界を作り上げるのだ。

「リアル以外の場所も豊かにするのが、私たちの役目ですから」（『ハケンアニメ！』並澤和奈）。

　その情熱は江戸も令和も変わらず尊い。

（文・田中稲）

【了】

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