最も教師役が上手かった女優は? ドラマ史上最高の先生5選。歴史に刻まれる伝説の名キャラクターをセレクト

text by shuya

学校を舞台にしたドラマといえば、名作の宝庫。個性豊かな教師と生徒たちが織りなす物語に、誰しも心に残る思い出の1本があるのではないだろうか。時に温かく、時に厳しく生徒の成長を見守る先生は、ドラマの要と言える。今回は、教師を演じた女優を5人セレクト。生徒だけでなく視聴者からも愛された名教師を紹介する。(文・shuya)

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【著者プロフィール:shuya】

多数のジャンルを執筆するフリーライター。自身の俳優としての活動を生かし、映画やドラマ、俳優の素晴らしさを言葉で表現する。「言葉というかけがえのない芸術で人々の人生を変える」をモットーに、生きる力をあなたに届ける。

強気だけど器用じゃない、新しい時代の教師像を体現

満島ひかり『ごめんね青春』(TBS系)

満島ひかり
満島ひかり【Getty Images】

 2014年にTBSで放送されたドラマ『ごめんね青春』。ドラマ界の花形・日曜劇場で堂々と主役の教師を演じたのが満島ひかりだ。このドラマで満島は、異性の前では素直になれず、サバサバした性格の蜂矢りさを見事に演じている。

 鬼才・宮藤官九郎が脚本を務めた本作の舞台は静岡・三島市。片や男子校、片や女子校。片や仏教系、片やキリスト教系…と校風の異なる2つの高校が合併されることで巻き起こる騒動を、コメディタッチで描いている。

 そんな本作で蜂矢は厳格で真面目な性格でありながら、どこか抜けたところもあり、完璧ではない人間味溢れるキャラクターとして描かれている。その等身大の姿勢が、なんともリアルで親しみやすく、視聴者の共感を集めた。

 満島の演技が光るのは、蜂矢の厳しさの奥にある優しさを繊細に表現している点にある。口調こそ厳しく、生徒たちに対して容赦ない言葉を投げかけることもあるが、実は生徒のことを深く考え、成長を願っていることが伝わってくる。彼女の目の動きや微妙な表情の変化が、教師としての葛藤や不器用ながらも生徒を思う気持ちを巧みに表現しているのだ。

 また、作品全体に漂う独特なユーモアも、満島の演技によって際立っている。生真面目な性格ゆえに時折見せるコミカルなリアクションは、シリアスなシーンとの緩急を生み出し、ドラマにリアルな温度感を加えている。完璧な教師ではなく、一人の人間として悩みながら生徒と向き合う姿がこのドラマの最大の魅力だろう。

 異なる価値観を持つ者同士がどのようにして共存するのか、といった本作のテーマは、宮藤官九郎の全作品に通底するものでもある。満島は溌剌とした芝居で、作品に爽やかな風を取り込みつつ、ドラマが発するアクチュアルなテーマを気取りなく視聴者に届けることに成功している。

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