死を超えてなお続く広大無辺な愛

『永遠の僕たち』(2011)

加瀬亮
加瀬亮【Getty Images】

監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ジェイソン・リュウ
キャスト:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、シュイラー・フィスク、ジェーン・アダムス、ルシア・ストラス、チン・ハン

【注目ポイント】

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)や『エレファント』(2003)など、数々の名作で知られる名匠ガス・ヴァン・サント。そんな彼が、「死」と「愛」を描いた青春映画が『永遠の僕たち』だ。

 主演は、ハリウッドの往年の名優デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーと、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)のミア・ワシコウスカ。加えて2人の愛の行方を見守る特攻隊員ヒロシの幽霊役として、『硫黄島からの手紙』(2006)や『沈黙-サイレンス-』(2016)などの海外作品への参加が目立つ加瀬亮が出演している。

 他人の葬式に参加することが大好きな青年と、不治の病に侵され余命宣告を下された少女。本作では、そんな2人の「タイムリミット付きの愛」を通して、生きることの意味と死を受け入れることの大切さを描いている。

 そして、本作にさらなる深みを与えているのが、加瀬演じるヒロシの存在だ。イーノックの唯一の友人である彼は、今際の際のアナベルを迎えに行き、かつて恋人にあてた手紙を朗読する。

上官は敵艦に当たる時”バンザイ”と叫べと言います

私は貴方の名をささやきます

死んでも生ある如くー

貴方に永遠の想いを

 その後、ヒロシとともにアナベルを看取ったイーノックは、葬儀の席上で彼女と暮らした日々を追想し、にこりと微笑むのだった。

 葬式で出会った男女の恋を描く本作は、終始死の影がつきまとっている。人間存在が消滅してもなお続く永遠の愛。その大きさに魂が揺さぶられる珠玉の青春映画だ。

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