全ては愛する人のためー
殺人事件の裏に隠された意外な動機
『最愛』(2021、TBS系)
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
キャスト:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
【作品内容】
「真田ウェルネス」の社長・真田梨央(吉高由里子)は、“世界を変える100人の30代”に選ばれる気鋭の実業家。そんな彼女のもとに、かつて心を通わせた宮崎大輝(松下洸平)がやって来る。宮崎は、梨央が殺人事件の重要参考人になっているというが―。
【注目ポイント】
『アンナチュラル』(2018、TBS系)や『MIU404』(2020、TBS系)など、数々の人気ドラマを手掛けてきた塚原あゆ子。そんな彼女が監督を務めたのが、この『最愛』だ。
脚本は奥寺佐渡子と清水友佳子。キャストには、吉高由里子をはじめ、松下洸平、田中みな実、津田健次郎、井浦新らが名を連ねる。
連続殺人事件の重要参考人となった女性実業家・真田梨央と、彼女を守る男性弁護士・加瀬賢一郎、そして事件を追う男性刑事・宮崎大輝の人間模様を描いた本作。放送当時は、第110回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の最優秀作品賞をはじめ数々の賞を受賞し話題を呼んだ。
さて、そんな本作の最終回では、一連の殺人の真犯人が弁護士の加瀬だったというもの。しかし、全ての殺人の動機が「梨央を魔の手から守る」ためであったことが判明し、ファンからは悲痛な声が上がった。
そして、加瀬は、最終回のラストで「究極の選択」を下す。それは、宮崎に自らの罪を告白してなお自首せず、行方をくらますという選択だ。ただ、それは、決して逃亡のためではない。自らが捕まってしまうと、梨央に贖罪の意識を植え付けてしまうことになる。それならいっそ、全ての罪を背負って消えようというわけだ。
「真相は、愛で消える」ー。本作のキャッチコピーが重々しく響く、なんとも悲哀に満ちた最終回だった。