独特なセリフ回しの掛け合いがクセになる
『セクシーボイスアンドロボ』(2007、日本テレビ系)
『セクシーボイスアンドロボ』(2007、日本テレビ系)
脚本:木皿泉、山岡真介、根本ノンジ
演出:佐藤東弥、池田健司、石尾純、狩山俊輔
キャスト:松山ケンイチ、大後寿々花、村川絵梨、塚本晋也、片桐はいり、浅丘ルリ子、岡田義徳、梶原ひかり、赤星昇一郎、六角精児、中村靖日、マンスール・ジャーニュ
【作品情報】
七色の声をもつ特異な能力がある中学生の少女・ニコこと林二湖(大後寿々花)と、ロボットフィギュア好きのオタクで会社員の須藤威一郎ことロボ(松山ケンイチ)が、さまざまな依頼を受けながら奇妙な事件を解決していくストーリー。
【注目ポイント】
松山ケンイチ主演作の中でも、ダントツで低視聴率だったドラマ 『セクシーボイスアンドロボ』(2007、日本テレビ系)。原作者は「茄子」(2000~2002)で知られる天才漫画家・黒田硫黄。にもかかわらず、平均視聴率は7.6%と前評判を大きく下回った。
物語は、浅丘ルリ子演じる骨董屋の店主マキが実はスパイという設定で、威一郎と二湖の凸凹コンビが、コードネーム「ロボとニコ」を拝命し、マキの指令のもと事件解決に奔走する…という筋書きだ。
サスペンス、コメディ、ヒューマンドラマが混ざった独特な作風であり、片時も安心させてくれない、ハラハラドキドキする展開が魅力であったものの、ドラマに安心感を求める保守的な視聴者層に刺さらなかったためか、低視聴率に終わった。
一方で、根強いファンがいるのも事実だ。セリフ回しが独特でユーモアと哲学的な要素がない交ぜになった会話劇の面白さは、他のドラマにはないもの。
とりわけ、最終話でニコが言い放った「何があっても私は自分の味方でいようと思う。なぜなら、私を救えるのは宇宙で私だけだから」というセリフは、ドラマ序盤の伏線を回収する役割を見事に果たしており、お見事の一言。このセリフの味わいを堪能するためだけでも一見の価値ありだ。
こんなに面白い!…にもかかわらず、配信される機会は決して多くない。一方で、DVDを購入して鑑賞するファンは数多い。再鑑賞によって面白さを再認識させられる点も、本作の得がたい美点だろう。