2010年代で最高の日曜劇場ドラマは? 最も面白い作品5選。社会現象連発…視聴者の心を鷲づかみにした珠玉のセレクト
1956年に放送開始して以降、数々の名作を世に送りだしてきたTBS系列の日曜よる9時のドラマ枠「日曜劇場」。今回は、同枠で2010年代に放送された作品の中から指折りの傑作を5本ピックアップ。社会現象を巻き起こした懐かしの名作たちを振り返り、大ヒットとなったワケを解説する。(文・阿部早苗)
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【著者プロフィール:阿部早苗】
仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。
巨大権力に挑む痛快ドラマ
決めゼリフ「倍返し」は流行語に
『半沢直樹』(2013、2020)
原作:池井戸潤
脚本:八津弘幸、槌谷健、李正美、丑尾健太郎、金沢知樹、谷口純一郎、李正美
キャスト:堺雅人、上戸彩、及川光博、山田純大、片岡愛之助、北大路欣也、香川照之
【作品内容】
銀行員・半沢直樹が理不尽な圧力や不正に立ち向かい、「やられたらやり返す、倍返しだ!」の信念で巨大権力に挑む物語。組織の闇を暴きながら仲間と共に正義を貫く姿を描く痛快な企業ドラマ。
【注目ポイント】
続編も放送され人気を博したドラマ『半沢直樹』。視聴率はほぼ20%台をキープし、最終話では42。2%の高視聴率をたたきだした同ドラマ。放送された2013年の流行語大賞には半沢の決めゼリフでもある「倍返し」が選ばれるほど社会現象を巻き起こした。
「経済ドラマ」は一般的には視聴率が取れにくいといわれるなかで、本作がこれほどまでの大ヒットしたのは、なんといっても痛快なストーリーと演者のやりすぎと言ってもいいほどの迫真の芝居に拠るものだろう。主人公・半沢直樹が理不尽な権力に立ち向かい、不正を暴いて倍返しを果たす展開は、多くの視聴者に爽快感を与えた。
「やられたらやり返す、倍返しだ!」という半沢の名言は、演じる堺雅人の熱演もあって真似をする人が続出。前述した流行語大賞を獲ったのも納得である。
加えて、香川照之や北大路欣也、及川光博といった実力派キャストが緊迫感のある演技を見せたことも視聴者の関心を引きつけた。物語の構造も正義と悪が明確に分かれた勧善懲悪の展開で分かりやすく、視聴者が感情移入しやすかったことも人気の一因だろう。
また、古いしきたりがのさばる銀行を舞台にしたリアルな権力闘争が多くの社会人の共感を呼んだ。現実社会では、上司や組織の理不尽な要求に従わざるを得ないことが多いが、半沢はそれに屈せず真正面から戦い、不正を暴いて「倍返し」する。そんな主人公に勇気をもらった視聴者も多かったはずだ。