現代医師が江戸時代へとタイムスリップする人間ドラマ

『JIN-仁-』(2009、2011)

大沢たかお
大沢たかお【Getty Images】

原作:村上もとか
脚本:森下佳子
キャスト:大沢たかお、中谷美紀、綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、中村敦夫、麻生祐未、小日向文世、内野聖陽

【作品内容】

 現代の脳外科医・南方仁(大沢たかお)が江戸時代にタイムスリップし、そこで医術と知識を駆使して、人々の命を救おうと奮闘する物語。歴史上の出来事や人物と絡みながら、人間ドラマが展開される。

【注目ポイント】

 第一期から続編となった完結編まで高視聴率だったドラマ『JIN-仁-』。視聴率は16%以上をキープし続け、最終回では最高視聴率の25.3%! 2009年に放送されたドラマの中で見事トップを獲得している。

 視聴率を高い水準でキープし続け、回を追うごとに視聴者を引き込んでいった理由は、現代の医師が江戸時代にタイムスリップするという斬新な設定と深い人間ドラマにある。
 
 医療ドラマとSFという異なるジャンルを掛け合わせ、命の尊さをテーマにしたヒューマンドラマとしてまとめ上げた手腕は見事というほかない。主演の大沢たかおをはじめとする豪華なキャスト陣の迫真の芝居もさることながら、一人ひとりのキャラクターが魅力的だったのも理由の1つだろう。

 医療が未発達な江戸時代、大沢たかお演じる仁は限られた資源と知識で患者の命を救うため、奮闘する。頼りにできるのは人々の協力と彼自身の医師としての技術だけ。絶望的な状況でも、諦めずに新たな方法を模索し、難題に立ち向かう姿勢が見る者に感動を与えた。 

 現代の最新医療知識を持つ仁は、江戸時代の医療技術では治療できなかった患者たちの命を救う。しかしそれは、本来死ぬはずだった人の運命を変える行為であり、タイムパラドックスを引き起こす危険性がある。歴史上の重要人物や出来事に相対し、歴史を捻じ曲げることに葛藤するストーリーに、歴史好きはもちろん考察も大いに盛り上がり、幅広い年齢層の支持を得たといえる。

 また、江戸で出会った綾瀬はるか演じる咲が仁に想いを寄せる一方で、現代にいる昏睡状態の恋人・未来(中谷美紀)を愛する仁。そして、未来とそっくりな花魁・野風(中谷美紀が二役)。この恋模様もドラマの大きな魅力の一つとなっていた。

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