同業者にも定評のある卓越した演技力
満島ひかり
卓越した演技力で高い評価を受け、ドラマ、映画、CMなど、様々なジャンルで引っ張りだこな満島ひかり。2024年公開の映画『ラストマイル』では、主演として圧倒的な存在感を示し、作品を大ヒットに導いたのは記憶に新しい。
1997年に「Folder」のメンバーとしてデビューを果たし、2003年以降は女優業に専念。映画では『愛のむきだし』(2009)、『悪人』(2010)、『川の底からこんにちは』(2010)など多くの作品に出演し、『悪人』では日本アカデミー賞助演女優賞を受賞。当初は快活な芝居で精彩を放つイメージがあったが、キャリアを重ねるにつれて、シリアスな役柄も上手くこなせることを証明。上手さを誇示することのないナチュラルな演技は、30代女優の中でも唯一無二の魅力を放っている。
2015年の映画『駆込み女と駆出し男』では自身初の時代劇に出演し、時代劇に魅了されたという満島。「そろそろ大河の主演に」という声も強い。
SNSを見ると「天草四郎」役を推す声が多く、驚かされる。江戸時代初期、隠れキリシタンたちが引き起こした「島原の乱」の首謀者だが、謎の多い人物でもあり、「実は女性だった」という解釈でも十分成立しそうではある。しかし、現実的に考えて、筆者は「淀殿」役を推したいと思う。
豊臣秀吉の側室であり、最後は大坂の陣で豊臣家と共に滅びるという波乱万丈の人生を送った女性である。これまで、夏目雅子『徳川家康』(1983)、宮沢りえ『江~姫たちの戦国~』(2011)、北川景子『どうする家康』(2023)など、名だたる実力派女優が淀殿を演じてきた。
天性の芝居勘の良さに経験が加わった現在の満島の実力と実績は、上記の女優にも負けずとも劣らない。大河ドラマで淀殿を演じることになれば、大河ドラマ史上稀にみる、悲劇のクライマックスを情感豊かに彩ってくれるだろう。