ドMvsドSの「仁義なき戦い」
『殺し屋1』(2001)
監督:三池崇史
キャスト::浅野忠信、大森南朋、SABU、塚本晋也
【注目ポイント】
ハリウッドの名匠クエンティン・タランティーノ監督の代表作『キル・ビルVol.1』(2003)。タランティーノの趣味を詰め込んだ本作には、日本人キャストとして、國村隼、菅田俊、風祭ゆきが出演している。彼らの共通点、それは、三池崇史監督の映画『殺し屋1』に出演していると言うことだ。
『殺し屋1』は、サディストの殺し屋・イチを主人公とするバイオレンスアクション作品。原作は『おカマ白書』『ホムンクルス』の山本英夫。脚本は『極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU』(2024)の佐藤佐吉で、キャストには浅野忠信や大森南朋、塚本晋也らが名を連ねる。
タランティーノが「大ファン」と公言している本作。超ドSの殺し屋・イチと超ドMの殺し屋・垣原という2人の人物による倒錯的な戦いは、思わず目を覆ってしまうほどに凄まじい。
ただ、本作の暴力描写はいたずらにグロいわけでは決してない。原作が漫画ということもあり、本作の暴力描写はユーモラスをはらんでいる。特に、垣原が殴りかかってきた相手のパンチを「食べる」シーンや、木下ほうか演じるセーラの情夫が頭から真っ二つにされるシーンは、過激さを通り越して思わず吹き出しそうになってしまう。
なお、脚本を担当した佐藤は、R18指定を回避すべく、原作の表現をなるべくマイルドにして脚本を執筆。当初はR15指定を目指していたものの、「映画そのものが反社会的」という理由から結局成人映画扱いになったという。