ドラマ、映画に引っ張りだこ…俳優・井之脇海の唯一無二の魅力とは? 主演ドラマ『晩餐ブルース』でみせた忘れ難い名演技を解説

text by 加賀谷健

テレ東系列の深夜ドラマ枠「水ドラ25」で放送中のドラマ『晩餐ブルース』の主演を務める1995年生まれの俳優・井之脇海。大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)にも出演するなど、八面六臂の活躍をみせる井之脇の役者としての魅力を多角的な視点から深掘り解説する。(文・加賀谷健)

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【著者プロフィール:加賀谷健】

コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで、企画・プロデュースの傍ら大学時代から夢中の「イケメン研究」をテーマに、“イケメン・サーチャー”として、コラムを執筆。女子SPA!「私的イケメン俳優を求めて」連載、リアルサウンド等に寄稿の他、CMやイベント、映画のクラシック音楽監修、解説番組出演、映像制作、 テレビドラマ脚本のプロットライターなど。2025年から、アジア映画の配給と宣伝プロデュースを手がけている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。

『あさイチ』視聴者が愛の眼差しを一心に注ぐ手元

『晩餐ブルース』第2話 ©「晩餐ブルース」製作委員会
『晩餐ブルース』第2話 ©「晩餐ブルース」製作委員会

 敬愛する友人や知人を対象に俳優評・監督評を書くとき、気恥ずかしいのはお互いさまである。今年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下、『べらぼう』)で、平賀源内(安田顕)をサポートする浪人・小田新之助を演じる井之脇海が出演した『あさイチ』(NHK総合、2月18日放送回)を見て、開始早々から面映ゆさを感じずにはいられなかった。

 画面上には卵料理に挑戦する井之脇の手元アップが写る。MCの博多大吉が「料理をしているのは誰なんでしょうかぁ?」とクイズ形式的な導入にすることで、彼の手元そのものに対する注目を促す。

 卵ときくらげの炒め物を作るためにメイン食材であるきくらげをむしる手元からはじまり、カメラが上に振られてバストサイズで井之脇の顔を捉える。食材を丁寧に扱う彼の手から手へ。手元アップで繋がる調理過程。とにかく美しい。

 実際、生放送を見る視聴者からは「井之脇さん、手がめっちゃきれい。画面で手を追っています」とリアルタイムでメッセージが寄せられるほどである。

 ぼくにとっての井之脇海とは、日本大学芸術学部在学中に映画の演出と演技をともに学んだひとりだ。所沢校舎の学食で彼を紹介されたときの感動は、記憶を手繰り寄せるまでもなく今でもはっきり覚えている(などと学生時代のエピソードを披露すると本人も気恥ずかしくなるだろうからこれくらいにしておく)。

 敬愛する友人の手元に対して「めっちゃきれい」というコメントを何だか自分事のように面映ゆく感じながら、でも確かにぼくもそう思って画面を見ていた。思いを共有する視聴者が愛の眼差しを一心に注ぐこの手元。ここから話題を敷衍しながら、手元に着目した井之脇海の魅力を紐解いてみたい。

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