ソウル界のゴッドファーザーの生涯を描く

『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』(2014)

ジェームス・ブラウン
ジェームス・ブラウン【Getty Images】

監督:テイト・テイラー
キャスト:チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー

【作品内容】

 自分専用のトイレを使われたことで激昂し、ショットガンをぶっ放す男。彼こそが「ソウル界のゴッドファーザー」ジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)だ。貧しかった幼少期。音楽への目覚め。不遜な態度を貫き通して業界をのし上がり、カネと女を手に入れる。ときには暴走しながらも、パワーを増していく熱狂的なステージ…。さまざまな時代のジェームズ・ブラウンの生き様を描きながら、彼の“ソウル”の本質を映し出していく。

【注目ポイント】

 ファンク界の最重要人物でありながら、その私生活では豪快な伝説の数々が語り継がれるジェームズ・ブラウン。その伝記映画となる今作は、様々な時代のJBを縦横無尽にジャンプしながら描き、そのシャウトにどんな想いが込められていたかを浮き彫りにしていく。

 冒頭のショットガン騒動をはじめ、JBの自己中心的な俺様エピソードが山盛りで、もちろん脚色もあるだろうが、JBならそのくらいはやってるだろうということばかり。

 劇中ではJBが第4の壁を突き破って観客へ語りかけてくる場面も出てくるが、それでも違和感を感じないくらい破天荒なJBに夢中になってしまう。

 そんな規格外のJBをチャドウィック・ボーズマンが高度な演技力で再現。特にダンスはキレキレで、最盛期のJBと同レベルの超絶なステップを披露。歩き方、喋り方まで完コピで、ブラックパンサー=ティ・チャラと演じている人が同じだとはとても思えない。

 「ショウビジネス界でいちばん忙しい男」と呼ばれたJBは晩年まで世界ツアーを周り、74才で永遠の眠りについた。そのJBを演じたチャドウィックは2020年に43才で死去。

 ジェームズ・ブラウンの不滅の魂とともに、チャドウィック・ボーズマンの永遠の輝きを封じ込めた作品だ。

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