人気学園ドラマでの生徒役から約10年…。
小芝風花が創出した五代目瀬川とは?

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第8話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第8話 ©NHK

 2011年にデビュー以降、数々の話題作に出演してきた小芝風花だが、筆者が個人的に彼女の芝居の素晴らしさを発見したのが、ドラマ『GTO』(2014、カンテレ・フジテレビ系)の生徒役であった。小芝が演じたつぐみという少女は、グレートティーチャー・鬼塚(AKIRA)が受け持つ生徒の1人。目立つ性格ではないものの、ほんわかとしたかわいらしさ、内に秘めた強さが光っていた。

 小芝は『GTO』以降も数々の作品で魅力を発揮し、2024年には『大奥』(フジテレビ系)でヒロインを勤め、本作『べらぼう』で蔦屋重三郎(横浜流星)の相手役を掴み、江戸で脚光を浴びた花魁・瀬川のカリスマ性を体現し、圧巻の美しさで日曜夜のお茶の間を沸せてみせた。

 繰り返しになるが、小芝が演じる瀬川のモデルとなった五代目瀬川に関する記録は少なく、生年月日、出身地、両親の生業も知られていない。また、彼女の胸の内を知ることができる手記などもない。そうした中で、小芝は、気風が良く、胆力があり、時に蔦重を引っ張っていく、「男前な花魁」を堂々と演じており、ひたすら媚態に終始するステレオタイプな花魁のイメージを一新する芝居を披露している。取りも直さず、彼女の芝居からは「江戸の風」が感じられると言い換えてもいいだろう。

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