『アンサンブル』のスタイリスト・杉本学子のリアリズム
続いて気になるのは『アンサンブル』(日本テレビ系)の川口春奈のスタイリング。私の記憶の限りでは『着飾る恋には理由があって』(TBS系・2021)に引き続き、杉本学子さんが川口専属で担当している。20代後半、弁護士という川口の役柄をよく読み込んだコーディネートはさすが。杉本さんは映画『ファーストキス 1ST KISS』、『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ、フジテレビ系・2021)などで、松たか子の劇中衣装を彩った。ファッションセンスが皆無のような私でも、役の年齢設定に合わせた小物づかい、時折、人物の機微を表す大胆なアイテム投入などが目に留まる。
川口春奈のスタイリング…として考えると、どこまでもリアリティーを追求した柚木一樹さんによるコーディネート、スタイリングは『silent』(フジテレビ系・2022)は見どころのひとつだったことを思い出す。いくつかのインタビューで読んだけれど、主人公の青羽紬(川口)がアルバイト店員であることを考慮して、ワードローブは少なめに設定、そのうえでの着回しが披露されていた。1990年代にトレンディドラマであった「大学生がこれ買える?」という、疑問符はゼロ。ドラマの新時代を教えてくれた。