ファッションの流行の発信源は雑誌からドラマへ
他にも作品に携わってきたスタイリストさん…と考えていくと枚挙にいとまがないのでこの辺で止めておこう。
思うのはファッションの参考資料にドラマの存在が大きくなっていることだ。これまで日本では紙媒体=ファッション雑誌が、時代を咲き取った手本として一時代を築いてきた。それがSNSなどの普及により、紙媒体の人気は徐々に失速。最近、書店で雑誌を手に取るとページ数の少なさに悲しくなるときがある。こんなことを書いている私も20代は出版社に勤務して女性誌の編集部員となり、独立後もまだ一部のファッション雑誌が100万部を印刷しているような時期を見た。若い子には伝わらないと思うが、雑誌の編集者は花形だった。だからこそ、今の雑誌業界の現状追認するのはちょっとくやしい。
現在は戦術のSNSがファッションカルチャーを伝えるスピーカーとして有効視されているけれど、どうもリアリティーに欠ける。カメラアプリで誰でも分かるような加工をして投稿された一枚で、購買欲は触発されない。
対極するようにドラマや映画は登場人物の動きによって、アイテムのことが画像よりもずっとよくわかる。先日も『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の広瀬すずのコーディネートが本人によく似合っていたので、Xにポストすると多くの反響があった。やはり皆、思うところは同じらしい。ドラマ、映画、動画配信サービスなどの媒体からファッションに刺激を受ける新しい視聴スタイルが、今後のスタンダードになるのかもしれない。
(文・小林久乃)
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