SFの新ジャンルを切り開いたサイバーパンクの完成形
『マトリックス』(1999)
監督:ウォシャウスキー兄弟
脚本:ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー
出演者:キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョー・パントリアーノ
【作品内容】
アメリカ、ニューヨーク。大手ソフトウェア会社メタ・コーテックスに勤めるプログラマーのトーマス・アンダーソン(キアヌ・リーブス)には、凄腕ハッカーのネオというもうひとつの顔があった。
ある日ネオは、パソコンの画面に表示されたメッセージに導かれ、謎の女・トリニティ(キャリー=アン・モス)と出会う。
【注目ポイント】
1980年代に小説を中心に拡がった「サイバーパンク」。リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』(1982)や大友克洋監督の『AKIRA』(1988)、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)など、数々の名作で知られるこのジャンルが大きく結実したのが『マトリックス』シリーズだ。
監督は、1996年に『バウンド』で映画デビューを飾ったラナ&リリーウォシャウスキー兄弟(現在は性転換手術を受けて姉妹になっている)。主演を、文芸作品への出演が多かったキアヌ・リーヴスが務める。
本作の最大の特徴は、バーチャルリアリティを基調とした特異な世界観だろう。自身の世界が「ツクリモノ」であることを知った主人公が、世界の仕組みを把握しながら超能力を会得していくという設定は、今見ても十分新しい。
また、躍動感あふれるアクションシーンも本作の見どころのひとつ。特に、カンフー仕込みのワイヤーアクションは、当時のハリウッド映画ではかなり斬新だった。
なお、本作は、ライト層にも楽しめるSFアクション大作として世界中で大ヒットを記録。その後『マトリックス リローデッド』(2003)、『マトリックス レボリューションズ』(2003)、『マトリックス レザレクションズ』(2021)と続編が作られている。