原作漫画の最終巻とも連動している可能性も
2025年冬ドラマの中でも、一際、先の展開から目が離せないのが、金曜22時から放送されているドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)だ。
殺された元警察官の父親が残した1通の手紙から、彼を殺した犯人と22年前の事件の真相に迫っていくヒューマンサスペンスは、2021年にドラマ化もされた『イチケイのカラス』で知られる浅見理都の同名漫画を原作にしている。
心優しい父を何者かによって殺された山下心麦(広瀬すず)は、父が残した手紙に書かれている冤罪の文字を目にして、面識のない弁護士・松風(松山ケンイチ)のもとを訪れる。
リリー・フランキー、磯村勇斗、成田凌など実力派のキャストが集うなか、本ドラマがとりわけ異質なのは、演じているキャストでさえ物語の真犯人を知らされていないことだろう。原作が未完であることも影響しているが、物語の中心人物を演じている広瀬すずや松山ケンイチらにも伝えず、真犯人が露見しないように台本を別で渡す徹底ぶり。
サスペンスの醍醐味とも言える先の読めないミステリー要素を全面に押し出すことで、演者さえも疑心暗鬼に陥りながら、キャラクターの心情に自分自身を重ねていく。「敵を欺くにはまずは味方から」の言葉通り、リアルな温度感で行われる芝居は必見だ。加えて、思わず目を奪われる映像美や緊迫した雰囲気を作りだす桶狭間ありさの劇伴も含めて、まるで映画のようなクオリティを実現しているドラマになっている。
現在、最新話である第8話の放映時点でも、事件の真相はすべて明らかになっていない。しかし、今月発売された原作漫画の最終巻とも連動している可能性も高く、原作とドラマの両方を追っている人々のドキドキは最高潮を迎えている頃だろう。