社会問題に鋭く切り込む『秘密〜THE TOP SECRET〜』
そして、数十年の時を経て大きな盛り上がりを見せているのが、1999年から連載されている清水玲子原作の漫画『秘密-トップ・シークレット-』を映像化した、ドラマ『秘密〜THE TOP SECRET〜』(カンテレ・フジテレビ系)だ。
MRI捜査と呼ばれる手法によって、死者の生前の記憶が視覚化できるようになった世界を舞台に、隠された真実を明らかにしようとする科学警察研究所・法医第九研究室(通称・第九)の奮闘を描く本作。
設定のみに目を向けると、荒唐無稽なSFサスペンスと思う人もいるかもしれない。しかし、本ドラマでは“秘密”をのぞき見る罪の意識と責任の重さを抱える人々の心情を繊細に描きながらも、過去から現代まで続く社会問題が各エピソードに内包されていた。
そして、頭脳明晰で類まれなる洞察力を持ちながら、第九の室長として捜査員を率いるカリスマ性も発揮する薪剛を板垣李光人、そんな薪の親友である鈴木と新たに第九に配属された後輩・青木の二役を演じる中島裕翔がそれぞれ役柄を憑依させたかのような迫真の演技を披露する。回を重ねていくにつれて、ふたりが“薪”と“青木”にしか見えなくなってくるほどに。
ドラマの公式サイトでは、脚本家の佐藤嗣麻子と原作者の清水玲子の対談インタビューも掲載されており、映像化するにあたって入念な擦り合わせが行われているだろうことは想像に難くない。
原作でも人気のエピソードや登場人物たちの人間関係が変化する事件がピックアップされており、ドラマから入った人にも分かりやすく時系列が整理されている印象だ。