岩田剛典の演技が最良に写るカメラポジション
そうやって本作の岩田を凝視していると、あらゆる場面の細部が自然と活気づく。純が楓から疑われていることを感じながらもクリーニング業務をこなす合間の場面を見てみよう。ドラム式洗濯機が並ぶ通路。洗い物を入れ、スイッチをオンにする純にカメラがゆっくり前進する。
このトラッキングショットがどこまで持続するのか。上述したベッド上の場面では、純が目を開いてから約5秒間近く持続した。
そのため前のカット尻から次のカット頭まで彼の眼差しが怪しげな尾を引いた。ところが、このトラッキングショットでは、もう少し前進移動で寄ってもいいんじゃないかという途中で次のカットに替わる。
と思ったら、洗濯機のガラス面に純の顔が反射するワンショットを挟んで、今度は洗濯機の通路の延長線上、外に面した場所で電話を掛けている純に対して前進移動が再開する。もう少し見せてくれよというこちらの希望を叶えてくれるのだが、するとこう気づく。
本作は、ひたすらカメラの前進移動が岩田剛典を捉え、彼の演技が最も魅力的に、最適に、最良に写るカメラポジションを探りあてようとする作品なのではないか、と。