ミュージックビデオから紐解く岩田剛典の演出技法
岩田剛典の演技を最適化するレファレンスが、直近の映像作品にある。映画やドラマではなく、それはミュージックビデオ作品である。
2021年9月15日に1stシングル「korekara」でソロデビューした岩田が、2025年2月12日に移籍先のVirgin Musicからリリースした第1弾シングル「Phone Number」。そのミュージックビデオは、岩田の目線に合わせたカット繋ぎで編集され、大人の色気をコンセプトにした誘惑の世界観をダイレクトに表現している。
さらに顕著なのが、画面上の立ち位置である。基本的に下手に位置する岩田の右横顔を捉えたショットが多いのだ。これは2ndアルバム「ARTLESS」に収録された「Just You and Me」のミュージックビデオでも同様、上手から下手に移動するパターンを含みながら、カット数の大部分を占めている。
「Phone Number」のミュージックビデオを監督したのは、実はぼくの友人である。英国歌手ジェイコブ・コリアーのあざやかなミュージックビデオを手掛けた経験もある彼とは大学時代、共通の友人が監督した映画作品の打ち上げで知り合った。
そこで彼の美学的な映像センスについてあれこれ、さまざまな視点から語ってもらった記憶がある。その記憶を元に考えるなら、「Phone Number」で提示された目線カットとその的確な繋ぎ方、下手の立ち位置は、自らが演出する映像世界を徹底的にコントロールする彼の強烈なビジョンによる計算ずくの演出だとわかる。
同映像では、岩田が本物の大蛇を首に巻くアトラクティブなカットが最も目を引く。それが岩田のセルフプロデュース要素かとぼくは最初思っていたが、この間、岩田本人に尋ねると「監督の肝煎り」だと言う。そうか、強烈な美学を持つ友人なら、この「肝煎り」を何としても具現化してしまうだろうと妙に納得した。