「今、岩田剛典からどんな演技を引き出すべきか?」という
現在進行形の疑問形に対する回答例

『フォレスト』第7話©ABCテレビ
『フォレスト』第7話©ABCテレビ

 さらに、隠された秘密に迫ろうとする純と医師・篠田塔子(水野美紀)が喫茶店で会話するすぐ後の場面。篠田の推理を聞いて今度は純が楓に対して疑心を抱くかと思われた瞬間、カメラがここぞというタイミングで、上手から下手に視線をパッと移動させる岩田のアップをおさえる。

 これこそぼくらが求めていた完璧なまでの岩田剛典の接写である。つまり、前進移動が繰り返されてきたのは、この接写にアジャストする固定位置を見定める動きだったのではないか。

 その過程で、ローアングルの不安定な構図まで周到に画面設計されていたのではないかという、伏線が回収されたような清々しい感覚すら覚える。

 するとどうだろう、他の場面をはさんで、再度喫茶店の座席でひとり座る純にカメラが前進移動する。あるいは、その後の場面で楓が週刊誌にリークした告発が掲載されたネット記事を登場人物たちが同時に読むシーン間では、その全員に執拗なカメラが前進移動する。

 さすがにちょっとカメラを動かし過ぎだと思うが、まるで玉石混淆のカオスをあえてショット間に生み出すことで、一ノ瀬純役を演じる岩田に対する前進移動の純度を練磨するかのようだ。

 すべての謎が明らかになろうとするクライマックスの第7話冒頭では、純が警察から取り調べを受ける場面がある。取調室の外、マジックミラーの枠にすっぽりフレーミングされる岩田にカメラがやはり前進移動する。

 室内でも同じような動きが、岩田の正面、横、後ろから何度も重ねられる。ここでもカメラは彼の演技を最大限捉えるためにさまざまなアングル、位置を求めて試行錯誤しているように見えた。本作は言わば、「今、岩田剛典からどんな演技を引き出すべきか?」という現在進行形の疑問形に対する回答例なのだと思う。

(文・加賀谷健)

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【了】

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