最もツッコみどころが多かった大河ドラマの名作は? 愛すべき迷シーン5選。史実と全然違う…? 記憶に残る名場面をセレクト

text by 阿部早苗

NHK大河ドラマといえば、1年間という長期に渡って主人公の人生を濃密に描く歴史大作。とはいえ、どんなに素晴らしい作品にも「制作上の都合」というものは存在する。そこで、今回は大河ドラマにおけるツッコミどころを5つご紹介。少なからずの視聴者が違和感を覚えたであろうポイントを踏まえて解説する。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

「なんやかんや」のナレーションだけで戦シーンをすっ飛ばし

『どうする家康』(2023)

松本潤
松本潤【Getty Images】

脚本:古沢良太
キャスト:松本潤、阿部寛、有村架純、板垣李光人、大森南朋、岡田准一、岡部大、音尾琢真、北川景子、甲本雅裕、小手伸也、佐藤浩市、佐藤隆太、杉野遥亮、田辺誠一、玉山鉄二、寺島進、中村勘九郎、中村七之助、波岡一喜、野村萬斎、広瀬アリス、古田新太、眞栄田郷敦、松重豊、松嶋菜々子、松本若菜、松山ケンイチ、真矢ミキ、溝端淳平、ムロツヨシ、山田孝之、山田裕貴、リリー・フランキー、和久井映見、渡部篤郎

【作品内容】

 戦国時代から江戸時代を舞台に、徳川家康の生涯を新たな視点で描いた物語。

【注目ポイント】

 2023年に放送された『どうする家康』は戦国時代から江戸時代を舞台に徳川家康の生涯を描いた物語。主演には松本潤が起用され、これまで家康を演じて来た俳優のなかでも「ハマり役」と話題となったドラマだ。

 初回放送は15.4%と好調発進だったものの、視聴率は3話以降から徐々に下落。広瀬アリス、有村架純、板垣李光人、杉野遥亮、北川景子、ムロツヨシなど書ききれないほど沢山の主役級の俳優陣が名を連ねたのになぜ…? と疑問を感じるが、SNSでは「ツッコミどころ満載」と放送開始から囁かれており、CGを使用した馬や背景のシーンに違和感を覚えた視聴者もいたようだ。

 そんな本作の劇中、指摘せずにはいられないのが「金ヶ崎の退き口」。織田信長が朝倉義景を攻撃したところ、浅井家に裏切られ、挟み撃ちに遭い、撤退するという有名な戦だ。家康が信長の撤退を助けるという見せ場もあったというのに、なんと戦闘シーンはまさかの全カット。

「その後、なんやかんやありましたが、無事金ヶ崎の戦いを乗り切ったのでございました」というナレーションとともに場面が切り替わる。これには視聴者もビックリ。また、清須城のシーンは、まるで中国の紫禁城かのように描写され、「いくらなんでも史実からかけ離れている」と視聴者を困惑させた。

 とはいえ、元々「新たな視点で、誰もが知る歴史上の有名人・徳川家康の生涯を描く」と謳っていた本作。既存の大河ファンや歴史好きの視点では納得いかない展開もあったかもしれないが、天下を統一した偉人・家康をこれまでとは異なる角度から描く…という制作陣の気概は十分に感じられる出来栄えとなっている。

 歴史ドラマでありながらもエンターテインメント性の高い作品に仕上げたことで幅広い世代に訴求した、という点はもっと評価されるべきではないだろうか。

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